Ⅷ 〜美帆子side〜

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「レストランとかじゃなくて良かったんですか?」 目の前に座るショウくんは心配したような顔をしていた。 屋根のみの建物で、抜けていく潮風が心地よい。 「むしろここがいいの。浜焼きって普段食べられないもの」 きっとショウくんならたくさん背伸びをしてでも素敵なレストランを予約してくれたと思うが、私はショウくんとしか行けない場所を選んだ。 海がある所ならどこにでもあるような浜焼きのお店だった。 海水浴には早い時期だから混んでいることも無く、ほぼ貸し切りに近い状態だった。 「今年も暑くなるんだってね」 まだ海開きをしていない砂浜は誰もいなそうだった。 焼けた砂浜で歩いた時の熱を思い出す。 「美帆子さんは海に来たら泳ぐタイプですか?」 「うーん、私泳げないから砂浜で遊んでいる事のが多かったかな」 「あっ、それってナンパされる典型的なやつじゃないですか!されました?ナンパ」 そんな事を物凄く真剣な顔で聞いてくるので私は笑ってしまった。 魚介の焼けるいい匂いがしてくる。 「そんなに真剣な顔で聞かないで?昔の事だよ」 「だって、美帆子さん絶対綺麗ですもん」 するとショウくんが考えるような顔をして、トングで貝をつつく手を止めた。 「ショウくん?」
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