Ⅰ ~美帆子side~

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丸く可愛らしいマムがガラステーブルを 反射してさらに綺麗に映る。 彼女の言う通り、ガラスだから余計に 映えるのかもしれない。 私は自然と頬が緩んでいた。 その様子を見て彼女は嬉しそうに再度 口を開く。 「特に女性に人気なのは この一番丸みがあるピンポンマムですね。 他の洋風のお花と混ぜても相性が良いので テーブルフラワーには最適です」 私は そう と花に酔いしれ頷き 「じゃあ明るい色のピンポンマムに 洋風のお花も足して作っていただけます?」 と頼んだ。 彼女はにこやかに返事をしてくれた。 しばらくして奥にある生花の管理場所から 要望通りの綺麗な花達が見えてくる。 彼女の手により花達は テーブルフラワーの形になっていき、 みるみるうちに華やかさを増していく。 作業に見惚れ、心の中が少女になりつつある中 私の腕に巻かれたハリーウィンストンは 約束の時間ギリギリをさしていた。 危ない危ない。 私は近くにいた別の店員に お花 取りにまた伺います と残し 足早に店を出て約束のカフェに向かった。
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