エピローグ

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綺麗に整えた花壇に咲く季節の花々がキラキラと朝露を光らせている。 自然の力だけでこんなにも煌めく存在を私はいくつになっても好きなのだろうと思う。 ずっと雨が続いていたせいで久しぶりの晴れ間だった。 今日にとっても相応しい、良い天気。 花壇に水をやろうと水道へ向かおうとしたと同時に1台のトラックが停まった。 もうそんな時間か、と手を止めてそちらへ向かう。 『朝からご苦労様です、これからよろしくお願いします』と仕入れ業者の方へ挨拶をする。 全てこちらへ運んで下さいと自分が好きで選んだ建物へ案内した。 家とは違う、私のもうひとつの居場所となる。 みるみるうちに室内へお花の香りが立ち込める。 この色とりどりの花々は、これから私の生徒さんの手により新しい顔を見せてくれるのだ。 あの日からここまで来るのに、丸3年の月日が流れた。 私は正成に1度だけ機会をくれないかと頼み込んだ。 いい顔はされなかったが、相当粘ったのでさすがに了承してくれた。 1からお花を勉強してフラワーアレンジメントの資格を取り、さらに自分の色を出せるように何度も練習を重ねた。 フラワーアレンジメントの教室を開くのが密かな夢であった。 まさか本当に叶えられるとは思っていなかった。 そんな夢が、今日やっと叶えられる。
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