エピローグ

3/3
前へ
/147ページ
次へ
仕入れ業者の方を見送り、1人でこの空間に戻るといよいよ教室を開くのかと実感が湧いてくる。 改めて教室全体を見渡した。 お花が映えるような家具を選び、教室というより誰かの家へ遊びに来たようなイメージを大切にしたいと色々工夫を凝らした。 そのひとスペースに1冊の本が飾ってある。 私がこの教室内で1番気に入っている場所だ。 本を手に取り、表紙を丁寧に指でなぞる。 ある青年が年の離れた女性と恋に落ちる物語。 私はふらっと立ち寄った書店で、吸い寄せられるようにこの本を手にした。 後から作者名を見て、思わず あ と声が出てしまった。 私は即座に購入し、待ちきれずに途中の公園で全てを読み終えた。 そして太陽が陰りそうな空を見上げ、気付いたら泣いていた。 私はまた、愛を買ったのだった。 あの頃とは形の違う愛に出会う事が出来たのだ。 Fin.
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加