Ⅰ ~美帆子side~

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店の外観を見て彼は不思議そうな表情をした。 「なんだか、お花屋っぽくないですね」 言いにくそうに言う彼に私は微笑む。 「本当よね。 でも、ここのお花はとても綺麗なのよ」 そう彼を店の中へ連れていく。 少し躊躇いながら足を踏み入れる姿が 子供のように愛らしく映った。 「午前中に伺った者なんですけど...」 同じ店員に話しかけると すぐに私だと気づきオーダーメイドした テーブルフラワーを出してくれた。 その完成品は思っていたよりも綺麗で ひと目で気に入った。 「...すげぇ~」 後ろに立っていた彼が テーブルフラワーを見て目を輝かせる。 なんだか意外に思えてくすりと笑った。 「ね?ここのお花 綺麗でしょう」 そう言いながら私はある事を思いついた。 「そうだ、...少し待っていてもらえる?」 「え?...はい、分かりました」 半信半疑のままな彼は素直に 私の元を離れ店内を歩き出す。 その姿を確認してから テーブルフラワーを抱いたまま再び店員に話しかけた。
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