Ⅰ ~美帆子side~

26/27
前へ
/147ページ
次へ
「こんな良いもの、ありがとうございます。 でも......」 彼は視線を落とし少し寂しそうな顔になる。 「でも?」 「...でも、『最後』は嫌です。 もっと話がしたい」 その発言に驚き、口から息を吸った。 再び彼の視線が私を捕らえる。 これはきっと仕事の決まり文句のようなもの だと理解はした。 言っているのは私にだけではないはず。 だけど、今の私には嬉しかった。 例え嘘でも、そう言ってくれる事に なぜか救われた。 「そんなふうに言われたの、すごく久しぶり。 ほんと嬉しい」 見つめてくる彼にさらに微笑む。 「こんなに楽しいならまたお願いしちゃうかも。 .........違う男の子を、ね?」 わざと舌をちらりと出す。 すると彼は焦ったように『えっ、』と声を漏らす。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加