Ⅱ ~ショウside~

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その辺のテーブルに紙袋を置くとちょうど 奥の暗幕から このBARの経営者でありながら あのボーイズクラブのサイトを支配している 杏香(きょうか)さんが姿を現した。 彼女は常に真っ黒いレース素材の ロングタイトドレスを着ていて 逆に他の服装を見たことがない。 何も羽織っていないので オフショルダーで強調された細い肩に一瞬目がいく。 杏香さんは僕に気づくと 「ご苦労さま」 と落ち着いた口調で言った。 年齢は知らないが、声だけでいえば 40代半ばといったところだろうか。 外見からみてもスタイルが良くて 美魔女という言葉が良く似合う。 僕は軽く会釈をしてから 代金が入った白い封筒を ドレスと同様のレース手袋をはめた杏香さんに差し出す。 杏香さんは何も言わずに受け取り、 (きびす)を返して奥の赤いソファーに腰かけた。
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