Ⅱ ~ショウside~

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そのまま固まっていると 「あら、まさかのビンゴ」 と杏香さんが口をきゅっとすぼめた。 慌てて いやいやそんなはずは と弁解しようとしたが 杏香さんに ストップ と言われてしまった。 「否定するのはどうかしら。 それは彼女の魅力を殺してるも同然よ」 あ然としている僕を見上げ 杏香さんは鼻で笑った。 「何も悪いだなんて言ってないでしょう。 自分のお客に恋心?いいじゃないの別に」 なんでもお見通しといったような視線に、 身ぐるみを剥がされている気分だった。 瞳からこちらの事を完全に面白がっているのが伝わってくる。 一度しか会っていない自分のお客に惚れている? 心の底から まさか と本当に思ったが 杏香さんにそう突かれて 自分の体に熱い血の巡りを感じた時を思い出すと 否定など出来ない。 実際、鼻腔の奥には 美帆子さんから香った上品な香りが さっきからずっと残って離れない。
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