Ⅱ ~ショウside~

8/25
前へ
/147ページ
次へ
紙袋を自分の座った隣に置き 先ほど買ってきたコンビニ弁当をガサガサとテーブル上に広げる。 いつもならテレビくらい付けるけど 今日は付けなかった。 その代わりに同じコンビニの袋から 買ったばかりの文芸誌を取り出して 箸を口に突っ込みながらペラペラめくる。 確認したいページは決まっていた。 創作、連載、エッセイ... その中に紛れた一枠だけを探す。 『木の葉出版新人賞 第二次選考通過作品 』 並べられた活字に 喉を鳴らす。 高校生の頃からずっと憧れてきた新人賞。 去年 大学一年になって初めて応募したが 結果は一次選考で終わってしまった。 人生で一番時間がありそうな大学生のうちに 賞が取れなかったら諦めるつもりでいた。 まだ大学二年だが、焦りがないといえば嘘になる。 そんな今年の新人賞、僕の作品は 一次選考を通過した。 現実は甘くないぞと自分に言い聞かせながらも やはり嬉しかった。 そして問題の第二次選考は通過出来たのだろうか。 本名でもある筆名『松宮 翔』の名を必死に探した。 見落とさないように指をなぞらせながら ゆっくりと。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加