Ⅱ ~ショウside~

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今から約3ヶ月前の6月中旬。 梅雨の長雨が続く季節で、 この日も外は浮かない空模様の中、雨が降っていた。 僕は当たり前のように大学をサボり 学校から離れた距離にあるカフェで 執筆をしていた。 なかなか進まず、 ひたすらノートパソコンと睨めっこしていた時 急に向かいの椅子が引かれたのだ。 もちろん、誰とも待ち合わせなどしていない。 パソコンから顔を上げると まず一番に服へと目がいった。 真っ黒いレースのタイトドレスに 濃いグレー色の薄いファージャケットを肩に羽織っている。 椅子を引いた手も黒いレースの手袋に覆われていて 素肌は鎖骨から上と二の腕くらいしか見えていなかった。 そのまま座って 少々偉そうに足を組む彼女は 独特な雰囲気があって周りの目を奪っていた。 この場所と彼女の服装があまりにも合っていないからだろう。
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