Ⅱ ~ショウside~

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「知らない世界を知るのも良い経験になると思わない?」 よく見ると綺麗に整った顔つきだった。 形の良い瞳が僕を見つめている。 ...というか、目利きされているに近い。 周りの目はもうこちらへ向いていなかった。 きっと勝手に僕とこの女性は知り合いだったのだと判断したのだと思う。 全くそうではないけれど。 女性は僕を凝視したまま 「あなた、よくここに来ているでしょう。 そしてずっとパソコン。 大学のレポートか何かかと思ったけれど そうじゃないみたいね。 ...小説家でも目指しているって所かしら」 と言ってきた。 落ち着いた口調で並べられる言葉は 明瞭で自信に溢れていた。 今思えば、この時から彼女の口から出る言葉は 恐ろしいまでに当てはまっていた。 外れた事など無いかもしれない。
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