Ⅱ ~ショウside~

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それから少し視線を落とし ティーカップに両手を添えながら静かに口を開いた。 「....." 愛 " ってどういうのだっけ、って たまに分からなくなってしまうから」 澄んだ瞳が一瞬また僕から遠くなった気がした。 続けてふふと彼女がしなやかに笑う。 でも、少しだけ困った表情にもみえた。 「.....私、今日ちょっとおかしいみたい。 自分の事も話し過ぎてしまうし、」 「それの何が駄目なんですか?」 思わず言葉を遮ってしまった。 まずいと思ったが僕は止まらなかった。 「自分の話を聞いてもらう事の何がいけないんですか? ...僕は嬉しかったです、美帆子さんが前よりも たくさん話してくれて。 それに、話し過ぎてなんてないです。 美帆子さんの事がもっと知りたい僕にとっては全然...」 言っている途中で、 ここが公共の場というのを思い出し自然と止まった。 幸いにもこちらに注目している人は居なかった。 美帆子さんが僕の事を見つめている。 「.....ショウくん?」 「...あ、いや...えっと」 脳内に"好き"という莫大な二文字が浮かび このままでは言ってしまうと思った。 でも言った所で駄目なのは分かっている。 美帆子さんは笑ってありがとうと言うかもしれない。 でも僕が本気なのを信じてはくれないと思う。 僕が何を言っても、今この場では全てがサービスとなってしまう。 お金で買った相手に言われた事など 誰が本気と捉えるだろうか。 だから、このままでは駄目なのだ。 このままでは......
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