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ショウくんは私を踏まないように馬乗りになっていた。
緊張して深く息が吸えず、吐き出すのも体力がいる。
余裕のある女には到底なれないと思った。
「……いいんですか?美帆子さんが言った事はこういう事ですよ」
若者の瞳は暗くてもしっとりと濡れた輝きを放っていた。
両手首を優しく押さえられ、それだけで私の体温はぐんと上がる。
これだけの行為ですら久しぶりだった。
正成とはもう長く体を重ねていない。
キスだってしていない。
「…ショウくんこそいいの?
あなたは私でなくても…、それなのに…っん」
言い終える前に柔らかなもので塞がれた。
そっと触れるような浅いキス。
なのに、惜しむようにゆっくり離れた唇は溶けてしまいそうなほど甘かった。
見つめられる熱っぽい視線に目が潤んでしまう。
溶けた唇から割って出る息が熱い。
それはショウくんも同じで、それが首筋にかかると体が痺れる。
「美帆子さんが、いいんです。……一番…近くにいたい」
熱を帯びた手が私の頬を撫でた。
顎をくいと引かれ、もう一度キスを落とされる。
今度は強く押し入られて空気を求めて軽く口を開ければ、たちまち深くなる。
放たれる熱い吐息で喉が焼かれる。
キスだけで壊れそうだった。
ベッドにブランクがあるとか、そういう問題ではない気がした。
甘い痺れで泣きたくなるようなキス。
そんなものは初めてで、先をするのが怖いくらいだった。
でも同時に壊されたかった。
彼に全てを委ね、溶けてしまいたくなった。
その時やっと気付いた。
_____あぁ、好きになってしまっている
衣服の中に侵入してきた熱い手に甘く疼きながら、そう思った。
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