Ⅰ ~美帆子side~

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飲み終えたティーカップを洗う。 食器用洗剤から香る柔らかいローズの香りと あいまって 私の頭は不思議な感覚で包まれていた。 明日の午前10時 場所指定は家から少し離れた駅前のカフェにした。 ついに『ショウ』を予約してしまった。 いざあのサイトからメッセージをやり取りしてみると、きっと操作しているのは別の内部の人だとすぐに気づいた。 恐らく 今のやり取りを終わった後 相手である男の子に連絡が回るシステムなのだろう。 それにしても不思議な感じがする。 無理もない。 話したことも無くて、 さらに自分よりも15も年下。 想像がつくわけないのだ。 ...明日、何を着ていこうか。 買っただけで一度も着ていない洋服など何着もある。 そうだ ほんの2日前に行ったばかりだが 今日の午後 エステにでも行ってこよう。 ヘアサロンでトリートメントしてくるのでもいい。 ティーカップをすすぎ終え、 手を拭き、軽い足取りで携帯電話を取りに行く。 「.........もしもし佐々木なんですけども___ 」 通いつめているエステサロンに 電話を入れる自分の声は思っていたよりも明るい声だった。
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