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そう言いつつも、クラスメート達の会話は光雅のことばかり。
オレはすでにクセになっているため息を、また吐いてしまった。
やがて担任が来て、ホームルーム開始。そして授業もはじまる。耳では授業を受けながら、思考は光雅のことに集中していた。
光雅との出会いは十年前。両親がアパレル関係で働いていたのだが、十年前、めでたく自立することが決まった。
そしてあのマンションへ引っ越してきた。仕事が軌道に乗ったおかげで、安アパートから高級マンションへ引っ越してこれたんだが、それを喜んだのも一ヶ月だけだった。
隣の部屋に住む真宮光雅は、当時からカリスマ性を発揮していた。
ウチの両親に面倒を見てくれと頼まれた光雅は、本当に世話をしてくれた。…実の両親以上に。おかげで今では部屋の合鍵も渡し、空き部屋には光雅専用の部屋まであるぐらいだ。
オレの両親は光雅の才能を褒めた。そして愛してもいた。
しっかりした性格だから、オレのことを安心して預けていられると言っていたが…本当は光雅のような子供が欲しかったのではないかと、何度も夜中一人で思っては、声を押し殺して泣いた。
オレが何をしても褒めてはくれず、それどころか光雅と比べては、アイツのことを褒めちぎっていた。
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