1/4
前へ
/51ページ
次へ

 しかし両親の強い勧めで結局は…。高等部に上がる時だってそうだ。そして生徒会入りも…。 「ふぅ…」  声は出さず、息だけ吐き出す。  いい加減、開放されたいと思う反面、光雅に大切にされることが心地良かったりもする。  でも本当に、高等部を卒業したらどうするんだろう?  この近くに大学はない。電車で三十分も行けば、いくつかはある。けれど光雅の偏差値を考えれば、都心の大学へ行った方が良いのは明らかだった。  そうなれば光雅はマンションから離れなければならなくなり、オレは…開放される。  さすがに大学までは口出ししないだろう。大学に入ればきっと、光雅の関心だってオレ以外に向く。…いや、向いてくれないと困るんだ。  悶々としているうちに、昼休み。 「は~あぁ…」  重く深いため息をつき、手ぶらで生徒会室に向かう。  生徒会室は特別教室棟の四階にある。昼休みの時間、そこはオレと光雅の貸切となる。 「朝食は洋風だったから、昼食は和風にしてみたんだ」  三重箱を開けながら、隣に座る光雅は楽しそうだ。  中身はオレの好物ばかり入っている。炊き込みご飯のおにぎりを食べながら、オレは疑問を問いかけてみた。     
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

439人が本棚に入れています
本棚に追加