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オレと光雅が着ているのは、全国でも有名な進学校として名高い青輪学院高等部のブレザー制服。男子校で中学・高校と一貫した学校だ。
私立だが、公立と同じぐらいの料金で通えることから、地元では倍率がかなり高いらしい。
オレも光雅も、中学部の時から青輪の生徒だけど…。
「オレ、公立でも良かったんだけどな…」
今更口に出しても意味が無いことは分かっていた。分かってはいたけれど出してしまうんだから、本当に諦めが悪い。
「綾? 何しているんだ?」
リビングではエプロン姿の光雅がいる。…すでに見慣れている光景なのが、何となくイヤだ。
「どっかおかしいところがないかの点検」
「うん…。髪がまだ濡れているな」
「そのうち乾くって」
「風邪引くぞ」
「大丈夫だって」
オレが滅多に風邪を引かないこと、知っているクセに…。心配そうに髪を撫でてほしくない。
「それより朝飯、食おうぜ」
「ああ、そうだな。飲み物は何がいい?」
「コーヒー」
「分かった」
オレはすでに朝食の準備が整ったテーブルを見て、思わず深く息を吐いてしまう。
コンソメスープに、さまざまな種類のサンドイッチ、それにフルーツサラダまで…どこぞの高級ホテルの朝食を思い起こさせるような料理だ。
しかも見た目だけではなく、味まで近いかそれ以上なのがある意味恐ろしい。
「ホラ、熱いから冷まして飲むんだぞ」
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