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「もう半分はお前の為だよ。買い物の内容は服のことだから」
「服ぅ~?」
「綾は服装に興味ないだろう? 着る物があまり高校生らしくない」
「悪かったなぁ!」
どうせオレのズボラな性格は服装にも現われてるわっ!
「だからいつもボクが選んで買ってあげているだろう? 今度の食事会で、困るのは綾の方だ」
「うぐぐっ」
食事会と言うのは月に一度、ウチの家族と光雅の家族で行う。どこで何を食べるかは親達が決めて、オレと光雅は前日知ることになる。
そして普段家に滅多にいないオレの両親は、たまに会うと服装について困り顔になる。
仕事が多忙でロクに家にいないクセに、こういう時だけ親の顔になるのは、正直言ってムカつく。
…まあ自分達がアパレル関係で働いているのに、一人息子のオレが無関心では、立つ瀬がないというヤツだろう。
「駅前にご両親のお店が出来ただろう? そこで服を買って着れば、喜んでもらえるぞ?」
「駅前に出来たんだ」
初耳のことに、目が丸くなる。
「知らなかったのか? メール、来てなかったか?」
慌てて携帯電話を取り出し、確認するも…。
「…来てねぇよ」
あんのバカ親っ! いつものことだが、何で一人息子のオレに連絡を寄越さず、光雅にばっかするんだ?
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