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痛み02
とある喫茶店の電話が鳴り響いた。滅多にないことだ。痛み請負人を出してくれとの内容だった。店主がアイコンタクトを取ると、彼女が受話器を手にした。
先日の不躾な女からの電話だった。
「本当にありがとう。感謝してもしきれないわ。今回は生理痛に悩まされなかったわ。生理もきちんときたし。お礼に何か奢らせてちょうだい」
不躾な女は一方的に電話を終了させた。
受話器を置くと店主が質問してきた。
「この前のキナ臭い客か?」
「うん…お礼がしたいって。料金はしっかりともらっているし、その間SNSや検索サイトに、私に関する情報は載っていなかったから、別に用事はないんだけど」
電話から時間を置くことなく、開店時間前のとある喫茶店に入店してきたのは、先日の依頼主である不躾な女。
手土産を持っている。これは駅ビルにテナントで入っている行列の出来るシュークリーム屋のもの。
「マスター、先日は何も注文しないで帰ってしまって、ごめんなさい。これ良かったら、召し上がってください。お嬢さんと一緒に」
「そうかい…悪いねぇ、有り難く頂くとしよう。お前さんも座ってくれ、飲み物は何がいい?」
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