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「そうですねぇ…アイスコーヒーを一つ、ホットミルクをお嬢さんに一つ」
痛み請負人が好物のシュークリームを目の前に、眼をキラキラさせている。貰って良いのか、と店主に確認している。
「お客さんのご厚意だ、有り難く頂きなさい」
痛み請負人はコミュ障なため、店主以外の人物と上手くコミュニケーションが取れない。
正確には、どのようにしてコミュニケーションを取ったら良いか分からない。
お礼を言おうにも、なかなか言葉が出てこない。そんな彼女は、不躾な女改め手土産女の袖を掴んでこう言った。
「シュークリーム…大好き…感謝する」
恥じらいながら、顔を赤く染めながら、直接見ることは出来なく、パーカーのフードをすぐに被ってしまう彼女を見た手土産女は、胸キュンした。
か、可愛い…と、同性だが恋愛対象になりかねないくらい可愛いと思ってしまう。
「好きなんだね、シュークリーム。食べて良いよ」
「…うん」
手土産女はポーチから名刺入れを取り出し、店主に名刺を渡していた。
「へぇ、お前さん…記者かい」
「いやー、記者ってほどでもないですよ。趣味でルポライターやってて、出版社に記事を持ち込むくらいはやりますけど」
記者というワードを聞いた彼女は、両手にシュークリームを持ちながら身構える。
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