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どうしても店主のものと比べてしまうが、様々なオムライスが豊富で、それは仕方ないのかもしれない。
「そんなに眼をキラキラさせて…オムライス好きなの?」
「うん…」
痛み請負人がオムライス好きなのには理由がある。
彼女の両親が二人して亡くなる前に、よく母親が作ってくれていた思い出があるからだ。
ケチャップライスに薄く焼いた卵焼きを乗せて、形を整えてケチャップで文字やら絵やらを描いてくれた思い出の一品。
「この昔ながらの…が良い」
「うん、美味しいよ、きっと…すいませーん」
SYUは彼女を否定しなかった。
メニューにはオムライスが沢山載っているのに、このオーソドックスな昔ながらのやつを頼んだことを、受け入れたかのように接していた。
「お待たせ致しました。昔ながらのオムライス…こちら、サイズは如何程に致しましょうか」
「3Lで。あと、とりわけるのに小皿をもらえるかしら?」
「畏まりました…こちら3Lサイズを一つ、とりわけ皿を二つ、で宜しかったですね?オプションでケチャップライスに入れる具材をこちらからお選びください」
「何がいい?選んで良いよ」
彼女の野望は、この日を迎え叶えられるのかもしれない。ついに訪れた、自分で具材をチョイスすることが。
「これと…これと、これ」
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