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料金表は使い回しのため鞄の中にしまった。契約書も同様に鞄の中にしまった。
そして鞄から別の紙を取り出し、テーブルの上に置いた。
「何ですか?これは」
「次回生理が来るおおよその日程を書いてもらうのと、この紙の上に代金を乗せてください…もし代金が手持ちでたらなければ…指定口座振込も可能です…」
「私の場合、四日分だから二万円ですよね、ありますよ、少々お待ちを……はい、これでお願いします。あの、これで本当に生理痛は来ないんですよね?」
痛み請負人は生理痛の予定日程が書かれた紙を鞄にしまい、支払われた代金をそそくさと財布にしまった。
「その痛み…請け負います…」
依頼主の視界が、グラッと揺らいだような感覚に襲われた。依頼主が左手で頭を抑える。椅子に座っていなかったら倒れていたかもしれない状況だった。
「…っ」
「おや…大丈夫ですか…」
「何なの…立ちくらみ?」
「いえいえ、貴女に次回訪れる生理痛を、私が請け負ったのですよ…それより、契約違反はなさいませんよう、くれぐれもお願いしますよ?」
満身創痍な表情の依頼主は、なんとか平静を取り戻したようだ。処方された大して効果のないピルを飲み続けなくて良い、ピルを処方してもらうことで怪しまれることも、これからはなくなる。
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