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その代償として四日分で二万円は、依頼主にとっては高くはなかったのかもしれない。まだ生理が来ていないことから、その実感は薄いものではあるが。
「あの…」
「はい?」
「もし、今回良かったら、また来ても良いですか?」
「構いません…ただ、くどいようですが、拡散だけはしないようにお願いします…ただでさえネット社会が怖いのに…私の生きる場所がなくなってしまうから…」
頭でも沸いているのだろうか、と言わんばかりの表情をしている依頼主。
ただそれよりも、痛みを請け負ってくれるなんて、眉唾ものも良いところだが、SNSやネット社会、ゴシップなどにも露出していないにも関わらず、人伝え、口コミだけで巷では結構な噂となっている。
そのことから判断しても、痛み請負人としての才能は間違いないと判断できる他、契約違反をした時には、予想もできないとんでもないことが起こり得る可能性が極めて高いとの考えに至った依頼主は、痛み請負人に一礼をし、とある喫茶店を去って行った。
「ふん…キナ臭い客だったぜ。何も注文しないで帰るとはね…嬢ちゃんも気をつけな。あんなんになるんじゃねぇぞ」
「店主、お気遣いありがとう…依頼主の無礼は、私が何か追加注文しよう」
「…ほらよ、いつものサンドイッチだ」
「いただきます…」
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