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発達し始めたネット社会のおかげで、情報がそれまでより段違いで伝達しやすくなった反面、情報の信憑性の問題が挙げられている中、少女の両親がその被害者となった。
いつ、誰が、何処で、何をした…このような感じで拡散されていた当初。少女の両親は、殺人犯の濡れ衣を着せられた。
ありもしない、でっちあげの記事によって、自宅の電話は四六時中鳴りっぱなし。少女の通う学校では、そんなことを知ってか知らずか、差別の対象として扱われていた。
暴力を振るわれても痛覚麻痺している少女は、苦痛の声をあげず、傷だらけになっても、骨を折られても、他人に痛みを見せることなく、学校に通い続けた。
最中である。少女が痛みを苦痛に感じない中、自宅への嫌がらせがエスカレートし、ひいては父親が仕事を不当解雇され、ある日学校から帰宅すると、両親が首を括っていた。
少女は壊れた。自分の痛覚麻痺が悪いんじゃないか、右眼の色素異常が悪いんじゃないかと責め、両親の変わり果てた姿を見て、苦しんだだろう映像が頭に流れてきた。
痛覚麻痺しているのにも関わらず、少女はその場で苦しみ始めた。
あたかも締め付けられているかのような麻縄の感触、重力に逆らおうとしてもがき苦しむ痛み…それらが、少女の脳を襲った。
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