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(3)
「先輩、好きです。付き合って下さい」
その機会は、驚いたことに翌日に訪れた。二日間の連続告白。
あたしは思わず、その「倉橋美咲」と名乗った子を見つめた。
二つに結ばれた長い髪に、大きな瞳。
やっぱり長い天然のまつげに、桃色のくちびる、一年生であることを示す赤いリボン。
これまでの女の子たちと違うところは、少し気の強そうなところだろうか。
「えっと、あー……」
ごめんなさい、には慣れていても、受け入れるときには何と言ったらいいのだろうか。
言葉を探していると、美咲が口を開いた。
「ごめんなさい、は却下します。先輩と私は今日から恋人です。いいですか? 無言なら肯定と受け取りますよ?」
何だ、この子?
いままでないタイプの告白に、思わずあたしは苦笑した。
すると、美咲もにっと笑った。
「その笑顔はオッケーってことですね? じゃ、失礼して……」
美咲の顔が近づいてくる。まさか、キス? いや、まだそこまでの覚悟は……!
しかし、緊張するあたしそっちのけで、美咲の柔らかな髪が頬に触れた。
ふわり、華奢な腕が回され、柔らかく抱きしめられる。
そっちか……あたしは脱力した。それを感じ取ったのか、美咲はふふっと笑った。
「先輩って、うぶなんですね」
甘い吐息が耳たぶをくすぐった。
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