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「あんた何者? ていうか、ママって何?」 「ママはママだよ。僕は、未来から来たママの子供で、ガイルだよ」  少年は、何か問題でもと言いたげに首を傾けながら笑みを浮かべる。色々言いたいことは盛りだくさんだったけど、とりあえずガイルという名前につっこんでおいた。 「変な名前って、ママがつけたんだけど。未来では、カタカナの名前が流行ってるんだよ」  呆れたように呟くガイルに頭痛がしてくる。流行りとはいえ、自分のネーミングセンスのなさに、今から情けなくなりそうだった。  そんな私をよそに、ガイルは緊急の用があって来たと、勝手に語り始めた。 「実は、未来のパパが死んじゃうかもしれないんだ」  ガイルが悲しそうに顔を伏せる。いきなりな展開に面食らったけど、どこか様子のおかしいガイルに違和感を抑えきれなかった。 「何でそんなことになったの?」 「実は、タイムマシーンに勝手に乗って遊んでたら、この時代に何か影響を与えちゃったみたいなんだ」  ガイルが言うには、タイムマシーンの定義よろしく、未来のことを過去に伝えたせいで未来が変わる可能性があるらしい。ようするに、ガイルのいたずらのせいで本来あるべき未来が変わろうとしているらしい。  それはいいとして、なぜ私の未来の旦那が死ぬことになるんだろうか。  その部分を問い詰めると、ガイルは苦笑いを浮かべながら下手な口笛を吹き始める。どうやらガイルが好き勝手にタイムマシーンを利用したのが原因みたいだった。  ――このガキ、お仕置きが必要ね  なぜか全身から沸き出る怒りに任せて、ガイルを睨みつける。ガイルは悲鳴をあげながらも、しっかり計算した角度で私の胸に顔を埋めた後、私の肘打ちによって沈んでいった。 「ねえガイル、未来の旦那ってどんな人?」  ガイルの頭を優しく持ち上げながら、最も重要なことを聞いてみた。 「パパは、ママが通ってる学校の先生だよ。確か、かなりイケメンで知られていたはず――」  ガイルの説明に瞬時に反応した私は、恐怖で顔がひきつるガイルの胸ぐらを思いっきり掴んだ。 「誰? イケメンって、もしかして数学の吉川先生のこと?」  ガイルの顔が半分青白くなるまで胸ぐらを揺さぶってた私は、止まらない妄想に笑いも止まらなかった。  
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