移りゆく花の色と私の気持ち

１、赤いチューリップ ～愛の告白～

颯太との仲をからかわれる事なんて今に始まった事ではないので『またか』と思いながら自分の下駄箱へ向かう。

それにしても、皆は本当に色恋沙汰の話をするのが好きだ。
誰と誰が付き合った、あの子はあの人の事が好きだ、告白しただのフラれただの、毎日そんな話をしている。

…正直、私にはよく分からない。

恋をして頑張っている友人を見て可愛らしいと思うし、この恋が実ればいいなとは思う。
そして、多分人並みには彼氏というものに憧れをもっている。
けれども、私には友人達が言うように、相手の事で頭がいっぱいになったり、ドキドキし過ぎて話が出来ないなどという、気持ちがよく分からない。

その事を相談したところで『詩織には颯太くんがいるんだからいいじゃない』と返されてしまうだけだ。