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「はいはい。俺もう飲み終わったから、千央も早く空けちゃえよ」 横を通った店員を引きとめて勘定をしてもらうよう言った。 電車で数駅の渋谷にある、千央の元バンド仲間の斉木達が集まっている居酒屋に向かった。 千央は今ではいっぱしの会社員として勤めているが、数年前まで非正規雇用として今の会社に勤め、バンド活動を熱心に行っていた。彼女との結婚を前向きに考えるにあたって脱退することになり、それと同時に他メンバーも色々と思うところがあったのが結果的に円満解散という事になった。高校を卒業してから5年続いたバンドの仲間達とはバラバラになっても仲良くはやっているらしい。そういう人間関係を円滑にできるのが千央の長所でもあった。 チェーン店居酒屋の奥の座敷に通されると複数人の賑やかな笑い声やらが聞こえてきた。 「お、来た来た。恒くん相変わらずきれいな顔してるなあ」 「そりゃどうも。あ、生二つ」 前の受け答えは斉木に、後ろの注文は店員に向けて言ったものだ。 テーブルを挟んで千央の向かい側に座る。 「早かったな、お前らどこで飲んでたの」 「恵比寿。こいつの職場の最寄り。休日出勤とかありえねえ~」 注文を受けた店員が置いていったおしぼりを手渡すとそれで恒を示しながら千央は答えた。     
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