黒漆

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あたたかい指先で頬を撫でられると、それに応えるようにそちらに頬を傾けた。 「幻滅しました?」 「いいや、とても愛しいな」 熱の籠る瞳で見つめられて、期待に思わず息が荒くなる。  お互い衣服の乱れた胸を密着させて、跨る英に覆いかぶさり抱き着きながら腰を何とか動かす。ソファから零れて床につく片足の、足袋の爪先は、ぐっと、沿っている。 「あっ、ぅ、ん、んんっ、」  あまり慣らしていない状態で早急に繋がった痛みや苦しさもあるが、久々に英を感じることができる昂ぶりの、あまりにもリアルな感覚にたまらず声が漏れてしまうことを、ただ辛いのだと勘違いされて汗ばむ項を宥めるように撫でられる。 「……大丈夫?」  喋ると、直接体を通して振動が伝わり、今目の前に、身の内に、英が居ることを実感して目の奥が熱くなる。 「一回、出してくれたら、その後は、もっと、よくなるから」  だから今はまだやめたくない。こうして体を繋げている間は確実に独占できる時間だから、その時間を、もっと、できるだけ、もっと長く過ごしていたい。 「好きなんです」 「好きだよ」 「好き」 「うん、好き」 「好き」 「好き」 「好き」  支える為に抱きしめてくれる英の両腕にひと際力が込められた。     
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