私と祐ちゃんとクロとシロ

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「ほら見て、これが今日の診察内容だ」  私は驚いた。先程、診察室で見せられたMRIの画像が表れた。もちろん医師でもない私たちが診ても何ら理解できるものではないがオープンにしている姿勢だけは伝わってくる。 「亮子、今夜の食事はひじきの混ぜご飯といり豆腐、もやしと人参のごま酢あえ、小松菜と油揚の煮浸しに精進汁だって。デザートはブルーベリーシェイクだ。画面を観る限り美味そうだけど亮子には量的に物足りないんじゃないか?」 「イーダ」 私は少しふくれてから笑い声をあげた。 「仲がいいのね、廊下の外まで聞こえてよ」  回診カートを押しながら看護師が入ってきた。歳つきは私と同じようだが、白衣がよく似合い笑顔が素敵なくびれ美人である。彼女の他に三人の看護師が交代で私の世話をしてくれるらしい。  私のあり余った体重が一時的にでも減るならばと、年に二度は献血をしてきた。私にとって点滴の針など問題ではないが、その時間の長さには馴れる必要を感じた。看護師の説明では抗ガン剤の点滴投与によって激しい吐き気をもよおすとのことだ。そのため、事前に副作用を抑える輸液を点滴し、複数の抗ガン剤を点滴することで患者にとって最も効果のある治療を施すとのことだった。     
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