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観光案内所の隣室に設けられた私たちの休憩所で祐ちゃんと昼食を取ることも珍しくはないが、決まって祐ちゃんのお弁当はコンビニで買ってきた物だ。他の誰もが、自分で作るか奥様のお手製である。私もお手製のお弁当を持参している。
「ねえ、祐ちゃん。食事はどうしているの?」
「どうしているって?」
「だから、自分でお料理することはあるの?」
「むりむり、おれには向いていない」
「じゃあ、三食ともコンビニなの?」
「朝はトーストとコーヒー、お昼は役所の食堂のランチ、夜はコンビニかファミレス。もう二年になるよ。もっとも月に一度、姉貴が両親の月命日にお線香をあげに来たついでに手料理を冷凍しておいてくれるから、チーンするだけの時もあるけどね」
「野菜は?」
「ランチには野菜サラダも付くし、コンビニの弁当にはキャベツも入っているから必ず食べるようにしている」
「呆れた」
「なにが? これでも健康には気をつけている方だと思っている。インスタントラーメンとかは口にしないようにね」
それからは、ボランティアの参加日が祐ちゃんと重なる時には私がお弁当を作って上げることにした。栄養満点の弁当にカラフルな野菜サラダとフルーツ付きの豪華なものである。
「ありがとう。悪いね。こういうのに飢えていたんだ」
祐ちゃんは、遠慮することもなく忙しなく箸を動かしている。
「亮子ちゃん、いっそのこと祐治君の奥さんになったら」
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