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それまで、地面にへばりついているオオバコを揺らして遊んでいた北風の子が、僕の足元をかすめて空へと舞い上がった。
ーーくるよ
僕は空を見上げた。
墨汁色の大ききな厚い雲が、ゆっくり動き始める。
動き始めた雲は所々ちぎれて、雲の中身が現れた。中には真っ白な雪が入っていて、風に乗って蜘蛛の子みたいに空を舞っていく。サラサラと舞う雪。そして、1つだけふわりと飛び出した……、あれが羽?
羽は雪と違って銀色に光っていた。ゆらゆらひらひらと頼りなさそうに降りてくる。
僕は野球が得意じゃないから、こういうの絶対に不利だ。
ああ、せめてポップコーンを空中キャッチする技を磨いておくべきだった。
首が痛くなるほど空を見上げながら、僕は少しずつ羽の真下に来るように移動した。
北風の子も、僕に合わせて羽を誘導しているみたいだ。
僕たちのコンビネーションは、なかなかいい具合だ。
そして、肉眼でもあれが羽だって、はっきりわかったくらいまでやって来た時、急な風が吹いて、羽が舞い上がった。
ーー人間には渡さん
どうやら、人間には渡さん勢力が邪魔をしようと動き出したみたいだ。
それに合わせて
ーーあの子の力を試してみようじゃないか
僕に協力する勢力も動き出し、羽が僕の元へ再度やって来た。
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