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クリスマスイブは何十年ぶりかの大雪になった。
そうして一夜明けたクリスマス当日は、天気はいいけど町中真っ白だ。
町の人たちはみんなクリスマス・ランチでお祝いしている頃だ。
けれど、僕の家はひっそりとしていた。
なぜならクリスマスの挨拶を交わしていた最中にユウスケの咳が止まらなくなって、お母さんと病院へ行っちゃったから。
せっかくみんなで「メリークリスマス!」って……、笑ってたのに。
「ユウスケは大丈夫だ。でも今日はいちおう病院に泊まるそうだ」
お母さんからユウスケが入院することになったと電話があって、お父さんは入院道具を持って病院へ向かった。
出かける前にお父さんは、僕の背中を撫でながら「心配いらない」って言ってくれたけど、なんだか不安な気持ちがもくもくと膨らんで来た。ぐずぐずしていたら、カミナリが落ちちゃいそう。
「フウヤー!」
僕は窓を開けて、部屋から外へ飛び出した。
これがまさしく北風の"力"とも言える力。人間の僕がフウヤに乗って空を飛べちゃう、というか……、風に乗る、って言うのかな。
両手を広げて、さながら風のサーフィン。波乗りじゃなくて風乗りっていうイメージ。
最高にクールだ。
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