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プロローグ
真新しい校舎に寄り添うように建設された円形状のコロッセオは、祭りの火蓋がまさに切って落とされんとする熱気に満ちていた。
神舞祭――稀人が集うここ三嶽学園で年に一度開催される、自己の能力を競い合う大会の一回戦がこれから執り行われる。
円形状の石造りのリングには、男女六人が相対している。緑色の体操服に身を包んだ三人は三嶽学園の二年生、もう三人は三嶽学園の姉妹校である八秦学園の同じく二年生で、黒の道着を着込んでいる。
神舞祭は三対三の団体戦だ。相手を全員戦闘不能にするか、リングの場外に落とすか、降参させれば勝ちとなる。もちろん、能力を競うのが主眼であって、命にかかわるような行為や重傷を与えかねない攻撃は禁止されている。
「全身緑の体操服って、だっさいわ」八秦学園の女生徒が薄ら笑った。
「これから、そのだっさいのにぶっ飛ばされんだぜ」三嶽学園の男子生徒、瀬川速人も負けじと応じる。
「準備はいいな」審判役の教師がリング外から声をかけた。「いくぞ。それでは、第五回神舞祭一回戦、はじめ!」
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