おっぱいと魚介類

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おっぱいと魚介類

 密が力を目に宿したのは小学生高学年の頃だった。 その日、祖父は針治療にでかけ祖母はカラオケ教室に出ていたため、密は一人だった。友達と遊びに行くこともできたが、あえて一人で家に居ることを選んだ。 彼には、子供ながらも抱いてしまった生々しい桃色の欲望を、誰にも見とがめられずに解き放つための壮大かつ卑猥な計画があったのだ。  祖父から渡されたパソコンには、祖父が以前使っていたアカウントも残っていた。そして計画の数日前、偶然にもそのパスワードを書いたメモを密は発見したのだ。 いかな知者とて、ミスは犯す。  メモを見つけたとき、密は気持ちの昂ぶりを抑えるために黙々と部屋で一人、ヒンズースクワットをした。 そうでもしないと内に込み上げてくるめくるめく卑猥世界への期待と興奮に頭がふやけ、まだ見ぬ卑猥美女達をほんとうに見ないまま、妄想を思うさま弄び昇天する羽目になりそうだったからだ。 そのメモは密にとっての鍵、自分の性を誰の目も気にすることなく世界に解き放つ自由の鍵だった。  扉を開く検索ワードは、「エロ動画 無修正」。 エンターキーを押す瞬間、衝動的にパウッと短く奇声を発した。     
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