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エピローグ
試験監督のサミエルはゆっくりとカメラを下ろした。
サミエルは走行するシベリア鉄道の全貌が一目で見渡せる山の中腹に立っていた。
走行すると言ってもシベリア鉄道はもはや微動だにしなかった。時速160kmからの急停車。多くの死骸と化した乗客たちが、車両から投げ出されて前方に散らばっていた。
「毎年いるのだよね、勘違い馬鹿が・・・。我々死神の職務は毎月毎年決まった数の命(ノルマ)を頂戴すること。乱獲すれば餌場を失って、こっちも自滅だ。列車事故ぐらいに留めないと。おっといけない。本当はこのカメラ、生物以外の被写体への使用は死神法で禁じられているのだったっけ。まあ、今回は正当防衛が認められるだろけどな」
(完)
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