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朝起きたら、外に干していた姉ちゃんのパンツがなくなっていた。
姉ちゃんは激怒し、顔を真っ赤にしながらカメラを持って家を出た。
ついでになぜか弟の俺も付き合わされることに。
「絶対にこのカメラで証拠をつかんでやるわ。さっき新しい下着を家出る前に干してきたの」
「……さすがに昼間はないだろ」
「わかんないじゃない」
「つうか、なんで俺も付き合わなきゃならないんだよ」
「男でしょ? 何かあったら弟のあんたに守ってもらうのよっ」
「えぇ、やだよ」
「問答無用」
「ひでぇ。家で寝たいのに。寒いし」
「文句言わないっ」
「はぁ……。そもそも姉ちゃんのパンツなんて欲しがる奴いるのかな」
「事実なくなってるのよ! あんたも見たでしょ?」
「そうだけど…………あっ」
「何よ!」
「え、あぁいや」
「はっきり言いなさいよ」
「……えっと、あそこの木に引っかかってるの、姉ちゃんのパンツじゃね?」
「え゛」
そういえば、昨日は風が強かった。
風でユラユラ揺れているいちご柄のパンツ。
「あれは……間違いなく姉ちゃんのだな」
姉ちゃんは、俺が指差す方向を見たあと、みるみるうちに顔を真っ赤にさせた。
それから、構えていたカメラをゆっくりおろすと、目をそらしたまま聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で言った。
「……このこと絶対に秘密だからね」
「……うん」
可哀想だから、誰にも言わないでおいてやろう。
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