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「いってきます」
スーツに身を包み、玄関をあとにする。
私の配偶者はどんな作業をしていても必ず一旦手を止め、可愛らしいエプロンをひらつかせながらぱたぱたと玄関までお見送りに来てくれる。
私をそっと抱き締めて、いってらっしゃいのおまじないをしてくれるのだ。
こんな平穏な日々が過ぎて、気が付けば丸3年。私たち夫婦に子供はいない。子供をつくる予定もない。きっとこの先も、私たちふたりで生きていくのだと思う。
私にとっては、これだけで十分に幸せなのだ。
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