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散り急いだ桜並木の下を通る度、私はあの日の出会いを思い出す。
私はいつものように不貞腐れた表情で学校に向かっていた。
前日のぼや騒ぎで、大目玉をくらったばかりだ。本音を言えば今の心境は学校どころではなく、うだうだ言いながら何もしたくないのだ。何でこんな日に限って、今日という日が休みでないのかと、日を選ばずに騒ぎを起こしたのは自分であるにも関わらず、きっと何者かが悪いのだという苛立ちの真っ只中であった。
そんな通学路に見慣れぬ人影があった。
同じ時間、同じ道を辿ると、だいたいが同じ景色の繰り返しだ。
そんな中で、異質に輝く“彼女”の存在は私にとっては非日常であると同時に、ただただ目の離せない、離してはいけない、どこか運命というより因縁めいたものを感じたのであった。
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