6人が本棚に入れています
本棚に追加
最後に見る空
一つの手紙を書き終えたブルラは一度深呼吸してから、手紙を封筒にいれ本の上にソッと置いた。
それから重い体を立ち上がらせて、ゆっくりと歩を進めた。
彼女が目指すのは妖精の世界と人間の世界の境界にある一番高い大きな大樹に向かっていた。
「一応…………王様にも帰ってきたときに…………許可は……貰ってる…………それに……例え…………イサエル様が…………こちらに…………来た……としても………私は」と言いかけた所で突如、呼吸が出来なくなって勢いよく咳き込んで空いている右手で口許を押さえた。
その様子を見ていた周りの妖精達も心配して彼女のもとに近付いた。
それで一斉に「大丈夫ですか!?」や「ブルラ様、どうされたのですか!?」など声をかけられ心配をかけてしまった。
その後にブルラは手を目の前にやるとそこには真っ赤に染まっていた。
(もう………時間がない………)と心の中で呟きながら焦りを感じ、直ぐ様無理矢理体を動かして彼等の間を抜いた。
それでも、彼女を心配する妖精達は困惑するも一人の男の妖精が前に出てきてブルラを支えた。
「母上!無茶しないでください!………一人で何処に行こうとしていたのですか!私にも協力させてください………」
母上と呼ぶ彼は300年前に産んだブルラの本当の子供だ。
最初のコメントを投稿しよう!