夜空のむこうに見える過去

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ーーその時だった。 今にも折れそうなくらい腰の曲がった        一人の白髪の老婆が      僕たち二人を見て    不可解な言葉を投げかけてきたのは。 「あんさんたちも亜里沙ちゃんの葬儀に来てくださったんかの」 「頼朝伝説か何か知らんが…不憫(ふびん)じゃあ…あの子も…あの白兎(しろうさぎ)に連れて行かれたんじゃろうなあ」 と…感慨深げでしかも吐き捨てるかのように言葉を投げかけた。 声は小さく貢には聞こえなかったようだが、    僕にははっきりとそう聞こえたのだ。         ーー白兎…?        ーー頼朝伝説…?
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