夜空のむこうに見える過去

11/55
前へ
/254ページ
次へ
咄嗟に彼女が残した  不可解なあのメールのことが脳裏をよぎり      「それって…」と     声がした左後方を振り返ると…   先ほどの老婆の姿はどこにもなかった。 僕はその老婆の言葉が気になりながら…        また空を見上げた。 今日の空も、彼女が失踪したあの日と同じ色をしている。しかも雪まで降り積もり始め、僕と君のすべてを覆い隠してしまいそうな雪景色。 ーー今日はアーサの葬儀が執り行われる日。 彼女はあのメールだけを残して       忽然とどこかに消えうせた。      まるで…どこかの誰かに        連れ去られるように。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加