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アキナイなのに秋あるじゃん、お前
混沌の時、白凰時代
其処に一匹の陰しものありけり
陰しもの、人々に鬼と呼ばれ
其の姿、榛の眸にて夜を駆け、濡羽色の髪を振り乱し墓にて屍喰らふ
墓にて親の亡骸を失す子ら在り、此ら陰陽寮に文を示し助けを乞うたるが、子らの提示する調伏料、陰陽寮に属する者の心を動かすに到底及ばず、其に対する陰陽寮よりの返答「猿の仕業」として使部の一人すら使わされず。
陰陽寮よりの返答に、親の亡骸失し墓にて泣き伏す子らの元へ一人の声聞師現るる。
此者、親思いの子らが寄せ集めたなけなしの銭欲しさに己を陰陽寮より馳せ参った安倍晴明と偽り、鬼を見事調伏せしめると宣う。
子ら、此を涙し歓喜し仏の如く此の詐欺師を敬い尊ぶ。
声聞師、此にしめたりと胸内に舌なめずり、来る宵にて墓に現れる鬼を待ち、儀式と偽りの芸能を披露し鬼に相対する。
声聞師の妖術を偽りし芸能は鬼に一切の効果無く、村人達の見たる前で声聞師は荒ぶる鬼の怒りに触れ、身を八つに裂かれ鬼にて喰われき。
後日此の報告を受けし陰陽寮はやうやう真の陰陽師を使わせ、此の悪鬼を容易く封じ、一件を落着させた。
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