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アースガルド。
魔物と魔人と人と動物が主に存在する世界。
人は生まれながらに魔力を持つ者・持たざる者がいて、魔力を持って生まれし人は魔導士と呼ばれた。
魔人は魔物が人の形をしたものをさし、魔物はその形容は様々で様々な気質をしていた。
そして、そんな魔物や魔人に対する討伐稼業が世界各地であり、主に魔導士たちはこの稼業で生計を立て、若き魔導士のルークもまたその1人だ。
18歳のルークの父は偉大な魔道士だが現在行方不明となっていて、母のリディアと自然豊かな中にある家で暮らしていた。
金色のミディアムヘアの端正な顔立ちのルークは魔剣を装備して、今日もまた修行がてら魔物討伐に出掛ける。
「気をつけるのよ」
綺麗な顔立ちのリディアが靴を履く息子を傍で見ながら言い、ルークが履きながら応える。
「わかってる。
と言って帰ってきた時には片腕なかったりして」
「もう」
リディアが笑えない冗談に腰に手を当てながら言い、ルークが笑って家を後にして行く。
ルークは近くの町へと歩いて行き、色鮮やかな鳥たちがいい天気の空を飛んでゆくのを見上げる。
30分ほど歩いて【アルバ】に着き、退治屋たちが出入りする討伐屋にルークがやって来て、依頼リストを見る。
「おはよルーク♪」
幼なじみの女魔剣士の艶やかピンクロングストレートヘアのピアナが傍にやって来て言い、ルークがチラと振り向き見て応える。
「ああ。おはよう。
ゴキゲンだな」
「ンフフ♪そうなのっ♪さっき欲しかった腕輪が手に入ったの!ほら見て 綺麗でしょ?」
ルークが腕にひときわ煌めく星の腕輪を見る。
「輝いてるな」
「輝々(キラキラ)で最高でしょこれ。やっと手に入ったわ!何て良い日なのかしら!」
「これは果たせば魔晶も付いてくるんですか?」
ルークが依頼書を見ながら依頼受付の女性に聞き、女性が見ながら答える。
「はい。依頼主様から支払われます」
ピアナが横からルビー色の眼で覗き見て言う。
「グラウゴの討伐にしてはいい報酬ね。
わたしもやりたいわそれ。一緒にやろうよ」
「・・・」
「もしもーし?一緒にやりましょ」
「1人でいい」
「なんでよ!一緒に退治しようよ!」
「足手まといはちょっとな」
「足手まといって・・
誰が足手まといよ!」
ピアナがプンスカプンプンで文句を言い、毛皮風の衣装を纏ったお姉さん魔女(古代から存在している生まれながらに強力な魔力を宿す特異なる者)ルディナスが後ろからやって来て言う。
「ちょっといいかしら」
「失礼。ほら邪魔だ」
「あう」
ルークがピアナの額を押しやり、2人で脇に退く。
「依頼番号10892のゲルバ(魔人)始末したわ」
「確認します」
受付のお姉さんが魔具を使って過去映像を具現化して視て、確かに魔人を滅ぼす瞬間を確認した。
ルディナスは報酬の《イルミラの首飾り》を受け取り、ルークを見て言う。
「あなたこの間 コブル(魔物)たちと壮絶な闘いしてたわね」
「はい。苦戦しました」
「なかなか見応えあったわよ」
見かけて楽しく見物していたルディナスが言う。
「今度良かったら一緒に仕事しない?」
「はい 是非。色々ご教授願いたいです」
ルークが魔女から色々学べたら有用だと胸が高鳴りながら応える。
「じゃあ またね」
ルディナスが行き、ピアナがムクれっ面で言う。
「何であの人とは一緒に仕事するくせにわたしとはしないのよ?」
「言っただろ。足手まといはーー」
ピアナが足先を踏み、ルークが痛がる。
「コブル如きに手を焼いてるルークには言われたくないわよ。
ルークよりわたしの方が強いから。昔からね」
幼い頃はよくしっかり者のピアナに守られていたルーク。
「昔の話さ。今はおれの方が強い」
「じゃあ勝負する?」
「ああ望むところだ。帰ってきたら決闘だ」
「上等よ。どっちが実力が上かわからせてあげるわ」
「泣きを見るぜピアナ」
「そっちこそ」
2人は別々の依頼を引き受けて、魔物退治に向かう。
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