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第2章 真夜中の客
ぼくはきのうのことは夢なのかもしれないと思った。なぜならいつも通りの朝でふかふかの布団に寝ていたからだ。
「ユウマ!そろそろ起きないと遅刻だよ」
お母さんが部屋まで見にきた足音に耳を澄ませながら、ぼくは早く言いたくてうずうずしていた。
「どうしたの、いい夢でもみた?」
「そう見える?」
さすがお母さん、ぼくのことよく見てるなと
感心している場合ではない、起きないと遅刻だ。
「あのね、夢というか昨日、ひいじいちゃんに会って一緒にお茶を飲んだんだ」
「ひいじいちゃんに会ったの?」
普通の大人なら、大抵は真面目にとりあってくれないけど、ぼくのお母さんはちょっと違う。少し、いやだいぶ夢見がちな大人なんだ。
だって子供の頃に月を見上げたら知らない髭のおじさんが浮き出てきた話をしてくれたんだもの。
「いいなぁ、私も一緒にお茶したかったな」
「いいでしょ」
「ひいじいちゃん、どんな格好だった?」
「緑の服だった、ちょっと光ってたよ」
「何それ派手すぎ」
はははっと笑い出した。もう思い出し笑いしちゃうかもといいながらぼくの目の前にパンと目玉焼きをおいた。
「お母さん、ぼく明日はサンドイッチがいい」
「早起きしたら作ってあげるよ」
「ちぇ~わかったよ」
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