Chapter 3  部屋割り もうひとつの取材クルー 米 雑談

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 佐々木は付き合いきれない、といった表情で早々に隣の寝室に引き揚げていった。仙波も大あくびをして眼鏡がずれた。 「相沢さんも見たでしょ、向こうの女の子、何て言ったっけ?」 「中沢」  堤がぼそっと名前をつぶやいた。 「そうそう、中沢さん。あの、けがれなき瞳。画数多いほうの穢れね。な? 堤」  丈偉は馴れ馴れしく堤の肩に手を回した。 「な、なんで俺に振るんですか。それに、さっきから言葉の選び方が、とってもおっさんくさいですよ」  明らかに動揺した風の若い男に、なおも丈偉は構い続けた。 「あ、今、都合が悪くなって話題を変えようとしたでしょう? ちゃんと見てたよ、君が中沢さんを目で追っていたのを」  堤は助けを求めるような視線を相沢に送った。 「その辺にしといてあげな」  言いながら相沢も半分面白がっている顔をしていた。 「じゃ、この辺で勘弁してあげるよ。けどね、俺はおっさんでもないし、くさくもない」 「知ってますよ。単なる言葉のあやです」  ようやく丈偉から解放されて、堤は道具類を片づけ始めた。 「それにしてもこの旅館、落ち着くな。俺もう寝るわ」  そう言って、丈偉は部屋を出ていこうとした。 「鈴木さんの部屋はここですよ」  仙波が言った。  
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