Chapter 1  秋祭り AV 会議室 小学校

7/13
前へ
/329ページ
次へ
「とにかく、話を元に戻すけど、これ差し戻して、もっと社会派な内容にしてもらおう。どっちみち向こうは向こうでチェック入れてくるだろうし、要らぬ反感は買いたくないからな」  男が真顔で言うのを聞いていた女は、急に何かを思いついたように、人差し指を相手に向けた。 「逆にそれが狙いなのかも。怒らせて本音を引き出す、みたいな」  女が言うのを聞いて、丈偉は向けられた指をそっと手で包んだ。 「相手が相手だ。洒落になんないよ。消されるかも知れないぞ。それに挑発行為は視聴者にも印象悪い」  相沢(  )梨々香(りりか)は背中がぞくっとして戸惑った。それが不安からなのか、握られた指のせいなのか、彼女は自分でも区別がつかなかった。 「それ、テレビ局関係者っぽい。いつから視聴率を気にするようになったの? ま、あとは鈴木さんにお任せします」  女はそう言って指を引き抜いた。 「それでよし」 「何それ。あたしのほうが先輩なの知ってた?」  お互いにそんなことを気にする間柄ではないのはわかっていた。  女はまた飲み物を飲んだ。 「そう言えば、佐々木さん見た? 今日来てるはずなんだけど、連絡とれないんだよ」 「さあ、わたしも見てないけど?」  
/329ページ

最初のコメントを投稿しよう!

130人が本棚に入れています
本棚に追加