影送り

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彼は私を「ユキ」と呼び、私に「ユーヤ」と呼ばせた。 私はそれから学校が終るとユーヤの作業所に行って、二人で12時位まで遊んだ。 その位の時間になれば、だいたい両親が寝てるから……。 だけど、あの日…。 その日は卒業式だった。 ユーヤに卒業式の日くらい家にまっすぐ帰るように言われて、明るいうちに家に帰った。 母は昼間からお酒を飲んでいた。 「あれ? こんな時間に帰ってくるなんて、久しぶりじゃない?」 そう言って笑った。 「今日は卒業式だから……。」 「そうなんだ。」 それだけいうと母はキッチンへ行ってしまった。 夜9時頃に父が帰って来た。 私を見るなり、 「最近遅くまでどこをほっつき歩いてるんだ!!」 そう言うと私の頬を叩いた。 当然の事だと思った。 悪い事をしている自覚はあった。 でも、帰りたくない家にしたのは、この人なのに……。 怒りの収まらない父は母の所へ行くと、突然母を殴った。 「お前がこんなだから!!」 泣き叫ぶ母。 「やめて!!」 止めに入ると投げ飛ばされて、私の体はあっけなく宙に浮いた。 後頭部から鈍い衝撃が伝わった。
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