北町夜話

18/18
前へ
/18ページ
次へ
 宗右衛門はその場にへたり込んだ。 「(むくろ)は――ないのか」 「へぇ、ありません――」  ――と、()(なが)ら、小物は黒々とした(まなこ)をくるりと向けた。  宗右衛門は慄然(りつぜん)とした。  小物の双眸(そうぼう)には、(こい)()がれた死のいろがあったのだ。 「そ――そなたは――」    その時、行灯(あんどん)のあかりが――ふ、と消えた。          了 
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加