北町夜話

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「しかしながら、相当に(すさ)まじかったと聞きますねぇ」 「何のことか」 「何って――京の無常所のことでございますよ」  話が戻り、宗右衛門は顔を上げた。 「そんなに凄まじかったのか」 「へぇ。送る(かず)(おお)かる日はあれど送らぬ日はなし――京の人の数も多くなってきた頃にございます。野辺(のべ)(おく)りは相当の数であったそうで」 「そ――そんなに沢山(たくさん)か」  ――そんなに沢山の目が。
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